赤岳は長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰の主峰で、標高が2899mあります。
甲府あたりで国道20号や中央道を走っているときに、北岳と並んで目に入ってきます。
赤岳に登る代表的なルートは美濃戸口から登るルートですが、首都圏から向かうとなると赤岳を長野側までぐるっと回りこむ必要があります。これは大変です。
一方山梨県清里からの県界尾根・真教寺尾根のルートは八ヶ岳最難関とも呼ばれている、鎖場(急な岩場や斜面を鎖につかまりながら移動する場所)やはしごだらけのルートで滑落事故も発生しているようです。落石も多々あるようですので、登山用ヘルメットを購入して挑みました。バイクのヘルメットに比べるとものすごく軽いです!
いつか槍ヶ岳に登りたいと思っていますので、こういった難関ルートにも挑戦してみたかったのです。
こういった理由もあり美濃戸口からではなく、山梨県の清里から登るタイトルのルートを選択しました。(実際に行ってみると美濃戸口まで行ってもそう距離は変わりませんでした。美濃戸口は行ったことがありませんがその近くの茅野まではたまに行きます。)
土曜日の朝4時頃自宅を出発し、7時ごろ清里近くの美し森駐車場に到着。登山口まで少し歩き、
7時半、登頂開始です!
人は少なかったです。
赤岳に登った方の記事を読んでいると祝休日の山頂はいつも結構な人出で、山頂標識には撮影待ちの行列ができているとの話でしたが、皆さん別のルートで登るだと思います。
県界尾根では登る人、下る人合わせて6人しか出会いませんでした。
しばらくは舗装された道を歩き、登山道に入りますが、一か所渡渉箇所がありました。
1時間くらい歩くときれいな雲海が見えました。
今日は雲が低くてうれしいです。
赤岳もきれいに見えます。
左側の建物が赤岳山頂山荘、右側の建物が赤岳展望荘だと思います。
景色がいいのでここで小休憩にしました。
今日の行動食もいつもどおりカロリーメイトです。美味しいです。
9時半ごろ、突如急な鎖場になります。
ここからが県界尾根が難関ルートたるゆえんの始まりです。ここからヘルメットを装着しました。
いきなりトラバース(斜面を水平移動)です。鎖をつかんで滑落しないように足を進めます。
トラバースは登るよりも足の動かし方が難しいです。両足が絡んでしまいます。
でもここは足場がきちんと整備されていますので、比較的歩きやすいほうだと思います。
この先はほぼ全部鎖場・はしごでした。
登った後上からとった写真です。あまり急さが伝わりませんが、60度くらいあったのではないかと思います(誇張しすぎでしょうか?)。
ただ全体的にしっかりゴツゴツした岩場でつかむところや足を置く場所はありましたので、鎖はガイドくらいのイメージで登ることも出来ました。
少しだけハイマツ帯もありました。
10時20分、赤岳登頂しました!!
(山頂標識はやはり大渋滞でしたので写真は撮りませんでした。)
山頂からの眺望です。10時前までは下のほうの雲だけだったのですが、わたしが登頂したときには雲が2層になって上層にも出てきてしまいました。
でも雲2層の間から北アルプスや御嶽山まできれいに見えました。
わたしは不測の事態が発生して遅くなっても暗くなるまでには下山できるように、4時には下山する予定を立てています。
本当は赤岳のお隣の横岳、もっと言えばさらに先の硫黄岳まで縦走(下山せず山を渡り歩くことです。稜線を歩くのはとても気持ちがいいです。)したかったですが、時間的に難しいだろうな、と想定していました。
でも予定よりだいぶ早く着きましたので、硫黄岳は難しいですが横岳までは行けそうでしたので行くことにしました。赤岳から横岳はコースタイムで往復2時間くらいです。
横岳までの縦走路はこんな感じの稜線歩きです。とても気分がいいです。スキップで歩きたいところですが、人の目もありますのでおとなしく歩きます。
横岳途中の地蔵の頭までは人がたくさんいましたが、地蔵の頭から横岳の間は結構人が少なくなりました。とはいえ県界尾根と比べると全然多いです。
横岳山頂は空いていましたので、ここでアンパンを食べました。山頂ではアンパンを食べることにしています。本当はオギノパンの丹沢アンパンが食べたいのですが、今回は買い出しに行く時間が取れませんでしたので、スーパーで買ったアンパンです。
アンパンはいつもどおりザックの中ですっかりつぶれていました。
オギノパンの丹沢あんぱんは↓が公式サイトです。
アンパンでもいろいろな味がありあんこもたくさん入っていて、そんなに甘くないので好みです。
ただ小さいのでいつも二つ持っていきます。
ゆっくり休憩したのに横岳の写真は撮りませんでした。
12時15分、赤岳に戻ってきました。
山頂標識は相変わらずの人出でしたので、写真はやっぱり諦めました。
人が映っていますので画質を大幅に下げました。
12時20分下山開始です
こんな急斜面を下ったりトラバースして降りていきます。
真教寺尾根の鎖場は一部楔が抜けている(抜いている?)部分があります。
予想したタイミングで鎖が張らずヒヤッとします。あまり鎖に頼りすぎないほうがいいと思います。
真教寺尾根と県界尾根はどちらも難易度的には変わらないと思います。
真教寺尾根はそんなに急な坂ではありませんが、県界尾根より鎖場が長いです。
県界尾根は急で滑落したとき引っかかれるところがあまりないので怖いですが、真教寺より危険区間が短いです。
そして今回の登山、いえ、わたしの3か月の登山人生の中で最大の事件が起きます・・・
真教寺尾根は全然人がいません、わたし1人で順調に下山を進め、森林の中を早足で歩いていると強烈な獣臭がしてきました。すこし歩く速度を落として進むと道端に動物のフンが落ちていました。「においの原因はこれだったんだな」と思って歩を進めると、
登山道の40mくらい先(かなり近いです)に黒くて大きい4足歩行の動物がいました!!
わたしの心臓はいったん止まり、動物もわたしに気付き目があいます。耳が丸いです。
熊です・・・
体の中心が冷えて、舌がピリピリします・・・
静止した時間は1秒くらいだったでしょうが、永遠に感じました。
ようやく心臓が動き出し脳にも血が巡り始めます。ようやく人間としての理性を取り戻したわたしは熊にあった時の動き方を思い出しました。
「大きな声や行動をせず、じりじり後ろに下がる」です。
一刻も早く走り去りたいところですが、そのとおり行動しました。少しずつ後ろに下がり、木で目線が切れた時を見計らって、全力でダッシュしました。
500m走ったくらいで後ろを振り返ると動物はいませんでしたので、全力ダッシュはやめ、今後の行動を考えながら小走りで山頂方面に向かいます。
山頂まで行って県界尾根から下ろうか?でも県界尾根と真教寺尾根は近いからまた熊にあうかもしれない・・・人の多い美濃戸口から下ろうか?車はどうしようか?山荘に泊めてもらおうか?などなど不安でいっぱいです。
自分の血の気が失せて真っ青な顔になっていることが鏡を見なくてもわかります。
そうして小走りしていると熊鈴の音が聞こえ下山してくる人がいらっしゃいました!
その方に熊がいたことを話すと、「じゃあ行ってみましょう!」とおっしゃいました。
確かに帰宅を考えると真教寺尾根をこのまま帰るのがベストです。
熊のことを考えると怖かったですが、その方は熟練の登山者に見えましたので信頼して同行することにしました。
そして現場の近くに行くと、また獣臭がしてきました。
熊鈴を大きく鳴らし、会話の声も大きくして慎重に進むと
まだ黒くて大きい動物がいました・・・
わたしが「あれ・・・」と震える腕で指をさすと、「あぁなんだ、カモシカじゃないですか」と同行者が言います。
確かに正面から見ると熊よりも大分スリムです。
さっき見たときは動物を横から見たので細さに気づきませんでした。
カモシカでした!!全然逃げませんでしたので写真も撮れました。可愛いです。
こうしてなんとか、16時10分下山しました。
きっと寿命が少し縮まったと思います。勘違いでご同行頂いた登山者様、大変ご迷惑をおかけしました、ありがとうございました。
今回は勘違いでしたが、次回以降の山行では熊撃退スプレーをすぐ取り出せるところに用意していこうと思います。
今回はここまでです、最後まで読んでいただきありがとうございました。お疲れさまでした。
余談ですが、この日は清里でキャンプ泊をしました。キャンプ場で野良猫の襲撃を受け、お手洗いに立った間に夜ご飯を荒らされてしまいました。